岩井克人の「貨幣論」を読む。
経済は門外漢なので、議論の本質についてはあまりきちんと理解できていないと思いますが、ものの考え方とか、議論の展開の方法論としてはとても参考なります。
貨幣を「実態」と「形態」という深層と表層に分離してその本質を探ろうということですが、その論の是非はともかく、「共同体」という概念を持ち込んでいるのは面白い。
制度やシステムから論を導くよりも、より身体的かつ本能的な側面に注目したアプローチのように思います。
ただ、その結果として循環論法に頼ってしまうのはちょっと物足りないのですが。
というか、マルクスという人はかなり神がかっていたのではないかと。そして、経済界というのは未だにマルクスの亡霊に取り付かれているようです。マルクスを読込み、批判し、それを乗り越えようと様々な試みが行われているものの、常に基準としてのマルクスから逃れることはできない。
それは僕らが未だにコルビュジエという巨人にに捕われているのと同じようなものかもしれません。
しかし、そのような巨人がいるということは、財産です。
まあ、世の中の万事をメタレベルで支配しているのは経済、というのはなんとなく正しいような気がしているので、その片鱗に触れることができるのは単純に面白いです。
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