20150701

WEEK神山

週末、友人の建築家達を神山に招いて案内する機会を得ました。
彼らとは独立したばかりの頃からの付き合いで、仕事が無い頃は毎週のように集まって飲んでは、議論したりしていた仲。数少ない仕事の成果を持ち寄っては互いに文句を言いあい、励ましあい、要は、世間的にいう切磋琢磨というやつでしょうか。
成果の見学会は「検査」とも呼ばれ、同業ならではの視点でダメ出しをしあうような場になります。これが本当に面倒で、役所の検査よりも緊張するのですが、しかし客観的な視点での批評は、自分のやっていることを整理するには絶好の機会だったりもします。
幸いなことに最近は皆すごく忙しくなって、なかなか集まる機会がないのですが、それでも誰かが設計した建物が完成したときは見に行くようにしていたし、お互いが何をやっているかはそれなりにチェックもしています。
今まで、自主的にやってきてくれた数人を除いては神山を案内したことはなかったのですが、今回WEEK神山という宿泊施設が出来たので、「泊まれるじゃん」ということでついに一泊二日の出張検査を依頼。皆多忙ななか、多くの友人が集まってくれました。
今回参加してくれたのは藤村龍至猪熊純馬場兼伸雨宮知彦仲俊治末光弘和門脇耕三川口有子、鄭仁愉前田茂樹、木下まりこという面々。偶然、同日程で岡山理科大学の弥田俊男さんが学生を連れて神山に来る、ということで合流し、総勢20名以上の検査員が集うという事態に。
夜の食事会には徳島の建築家、伊月善彦さん、内野輝明さん、島津臣志さんもいらっしゃって、まさに建築ナイトの様相。此処ぞとばかりに皆に突っ込まれ、あたふたしてばかりでしたが、とても充実した夜になりました。
建築関係者ばかりの集いなので、避け難く専門的でコアな議論へと展開し、同席されたWEEKの隅田さんやスタッフの皆さんには訳のわからない話ばかりだったかもしれません。本当にすみませんでした。
よく建築家は難しい話ばかりしてダメだ、みたいなことを言われますが、まさにそれを実践してしまいました。
しかし、先日藤村さんが「簡単な言葉だけを使っていると、扱える問題も簡単なものばかりになってしまう(意訳)」というようなことを言っていたとおり、僕たちが取組まなければならない問題は一筋縄ではいかないものも多く、「簡単な言葉」がもたらしてくれる突破力を使ったり、「難しい言葉」をこねくり回して先を見通したりで、つまり「これでOK」なんていう方法はなく、あの手この手で解き方を探って行くしか無いわけです。
だから僕は専門家の「難しい言葉」を信頼しているし、必要性も感じていて、神山に集まってくれた友人達は、そういう議論のできる貴重な仲間でもあります。言葉が簡単だろうが難しかろうが、そんなことはどうでもいい。それによってどういう成果を作れるかが問われるべきで、結局僕たちは設計の専門家なので、最終的にはどういう建築を作るか、でしか責任を果たす道は無いのだと思っています。
「建てない建築家」とかいわれることもあるし、そういう傾向がもてはやされたりもする昨今、もちろん建てる以外での成果の出し方があることは承知しているし、それにも全力で取組むわけですが、しかし自分の設計した建物に皆が集い、真剣に議論している場に身を置いて、改めて「建てる」ことの責任を放棄してはいけないと意を決した夜になりました。

忙しい中時間を割いてくれた友人の皆さん、素晴らしい場所と食事を提供してくれた隅田さんやWEEKスタッフの皆さん、そしていつも楽しくやらせてくれる神山町の皆さんに感謝したいと思います。ありがとうございました。
最後に、自分で言うのも何ですがWEEK神山、とても良い宿ができたと思います。ぜひご利用下さい!