20131213

「福島第一原発観光地化計画」についてのメモ

「福島第一原発観光地化計画」に収められた藤村龍至の福マスタープランを読んでいて、もやもやとした違和感とともに青木淳さんの「原っぱと遊園地」と吉村靖孝さんの「ビヘイビアとプロトコル」を思い出した。青木さんのテキストは2001年、吉村さんは2012年。

青木さんはこの論の中で、「あらかじめそこで行われることがわかっている『遊園地』ではなく、そこで行われることで中身がつくられていく『原っぱ』を標榜せよ」と説き、吉村さんは「社会はプロトコルを要請し、建築家はビヘイビアに閉じこもる」という枠組みを超えて、両者を架橋せよと説く。
まだ学生だった僕にとっても、青木さんの原っぱ論は魅力的だった。このテキストによって多くの人が「原っぱの呪い」にかかったことだろう。この呪いは、解けそうでなかなか解けない。
しかしテキストの発表から12年が経ったいま、僕たちは「原っぱ」と「遊園地」のがあったら、多くの人は遊園地に行ってしまうことを知った。

それは原っぱがダメということではない。原っぱの魅力は意外と共有されているし、衰えてもいない。ただ、この状況を前にして、遊園地を問題の外側に追いやらず、「どんな遊園地をつくるべきか」ということを考えないとマズいのではないか、という問題が浮上してきている。
藤村くんのマスタープランは、この問いへの答えだと受け止めるべきだろう。(というか、彼はずっとこれをやっている)
つまり、ここで計画されていうのは紛れもなく「遊園地」ということだ。この計画が多くの批判をうけるとすれば、その根源はこの「遊園地問題」なんじゃないかと思う。
しかし、そもそも原発は遊園地を稼働させるために作り上げられたものだ。今回の事故によって遊園地翼賛の風潮は一旦影を潜めたが、それでも遊園地自体が無くなることはない。観光地化計画が示しているのは、この事故が風化し、忘れ去られ、遊園地一辺倒の世界が訪れることへの警鐘ではないか。
原っぱの魅力を知っている僕たちがすべきことは、二項対立に陥って遊園地を否定することではないはずだ。(もし何か戦うべき相手がいるとすれば、それは「原っぱを駆逐しようとする力」なんだろう。)吉村さんが「ビヘイビアとプロトコル」で言っているのもそういうことだと理解している。つまり、「遊園地」に対する解像度を一段上げて、新しい遊園地や、その中での遊び方を考えてみよう、というメッセージだ。

「観光地化計画」にあるマスタープランの、あまりにあけすけな遊園地っぷりには正直違和感を禁じ得ないが、しかしそれでも藤村氏の問いかけは受け止めなければいけないと思う。 遊園地について思考することと、原っぱの魅力を謳うことは矛盾しないはずだ。原っぱ論が根源的に教えてくれたのは、「決定ルールにとらわれるのではなく、その前提に目を向けよ」という肯定の哲学だったのだから。

20131001

TURNS vol.06

TURNS vol.06に徳島県名西郡神山町の「サテライトオフィスコンプレックス」「えんがわオフィス」が掲載されました。
http://www.turns.jp/

20130909

SDレビュー2013





徳島県の神山町で進めている「えんがわオフィス・アーカイブ棟」がSDレビュー2013に入選しました。
東京と京都で行われる展覧会に出展しますので、ぜひご覧下さい。

東京展
9月11日〜22日 12時〜19時(最終日は16時まで)
代官山ヒルサイドテラスF棟 ヒルサイドフォーラム
東京都渋谷区猿楽町18-8

京都展
9月28日〜10月14日
京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
京都市左京区松ヶ崎橋上町

20130805

菅野広樹氏レクチャーのご案内

STUDIO4レクチャー:菅野広樹
「中国の設計事務所で働く日本人から見た、中国建築の現在形」

中国の「北京新领域创成建筑规划设计有限公司」で設計室長として
働いている菅野広樹さんをお迎えして、現在の中国建築事情について
お話しを伺います。
世界中のスターアーキテクトが次々と招喚されている中国において
建築はどのように作られているのか、どのような未来が想像/創造されて
いるのか。商慣習や施工技術の違いは建築のかたちを変えるのか。
中国建築のど真ん中で戦う菅野さんだからこそ見える風景を語って頂きます。

菅野広樹(建築家)
1980年 宮城県仙台市生まれ
2003年 横浜国立大学卒業
2006年 早稲田大学大学院修了
設計事務所、建設コンサルタント勤務などを経て
2010年〜 北京新领域创成建筑规划设计有限公司 勤務
2013年〜 北京で個人設計活動開始

日時:2013年8月12日(月) 19時半〜(19時開場)
場所:STUDIO4 (東京都品川区小山4−7−15 石神ビル2F)
   ※東急目黒線武蔵小山駅から徒歩5分
司会:伊藤暁(建築家)
入場料:500円
定員:40名(申込先着順、自由席)
問合せ:伊藤暁建築設計事務所
    電話:03-6421-5312 
お申込はお名前、人数、連絡先を明記の上 office(a)satoruito.com
宛にメールにてご連絡下さい。


皆様のお越しをお待ちしております。

20130724

「えんがわオフィス」アップ

ホームページに徳島県神山町での取組み、「えんがわオフィス」をアップしました。ぜひご覧下さい。

20130723

スタッフ募集


伊藤暁建築設計事務所では、スタッフを募集しています。
【応募条件】
建築系大学または大学院を卒業および卒業予定の方。実務経験者を優遇しますが、建築に対する熱意のある方であれば未経験者でも歓迎です。
【業務内容】
建築設計、家具・プロダクト等のデザイン、イベント運営など
【応募方法】
経歴書、ポートフォリオを下記宛にお送り下さい。(返却は致しません)
〒142-0062
東京都品川区小山4-7-15 石神ビル2F
伊藤暁建築設計事務所 宛

*書類選考の上、面接をお願いする方には2週間以内にご連絡します。
*経歴書、ポートフォリオは採用業務以外に使用することはありません。


・長期アルバイト、インターン、オープンデスクも随時募集しております。
ご希望の方は必要事項(名前、年齢、所属、連絡先、期間等)を記入の上、office(a)satoruito.com宛にメールにてご連絡下さい。

20130603

ムサビのデザインⅢ

武蔵野美術大学の美術館で開催中の「ムサビのデザインⅢ デザインが語る企業理念 ブラウンとオリベッティ」、会場構成を担当しました。
ぜひご覧下さい。
中野豪雄さんによるポスター、会場グラフィックや図録も必見です。



会 期|
2013年6月3日(月)ー8月18日(日)
※6/9(日)、7/15(祝)、8/18(日)は特別開館日
休館日|
日曜日
時 間|
10:00ー18:00(土曜日、特別開館日は17:00まで)
入館料|
無料
会 場|
武蔵野美術大学 美術館 展示室4、5
主 催|
武蔵野美術大学 美術館・図書館
共 催|
武蔵野美術大学 造形研究センター
http://mauml.musabi.ac.jp/museum/archives/6515